リニエ訪問看護ステーション港
作業療法士
学びは実践を磨く力になる〜学術活動が看護・リハビリ現場にもたらす意味〜
はじめに:問いを持ち続ける専門職として
皆様、こんにちは!
リニエ訪問看護ステーション港の作業療法士、本田です。
私は普段大学の教員をしながら、週に1回リニエ訪問看護ステーション港から訪問リハビリテーションを回らせていただいています。
そこで今回は、医療・福祉の専門職が学術活動をする意義を紹介させていただきます。
訪問の現場では、毎回の訪問で「この介入が本当にその方に適しているか」「もっとよい方法はないか」という問いが生まれます。
こうした“問い”をそのままにせず、理論やデータを通じて検討し直すこと――それこそが、学術活動をする意義です。
忙しい臨床でも“振り返り時間”をとる意義
日常業務に追われてしまうと、「やって終わり」にしがちですが、学術活動を通じて “立ち止まって振り返る時間” を意図的に設けることができます。
「なぜこの介入方法を選んだのか」「どこに課題が残ったのか」を書き出して考えることで、次回以降の取り組みが改善されます。
この振り返りこそが、個々の技術や臨床推論の底上げにつながります。
ご利用者の変化を見える化する
支援や介入の効果は、ご利用者・ご家族の言葉や印象で感じられることもありますが、それを客観的な評価・データと結びつけることが大切です。
たとえば、「機能尺度」「ADL評価」「生活場面での変化」などを定期的に記録し、比較できるようにする。
その変化を可視化してチームで共有することで、「支援が効いた領域」や「改善すべき点」が明確になります。
また、ご家族にも「こう変わりました」という説明ができ、安心感や信頼感にもつながります。
介入や支援を論理的に説明する力を育てる
実践ではこれまでの経験値から“良さそう”だと感じる介入方法を選ぶこともありますが、学術的なプロセスを通じて、介入の根拠を説明できるようになります。
「どのような根拠(エビデンス)からその方法を選んだか」「なぜこの方法を選択したのか」を整理することで、自分自身の考えもクリアになり、他職種との議論もスムーズになります。
発表や報告の場で質問を受けることも、自分たちの支援を深める手掛かりになります。
学会・研修で得る「生きた知」
学会や研修会に参加することで、最新の研究成果や他施設の実践例を直接学ぶことができます。
教科書やガイドラインには載っていない工夫や、実践の現場で生まれた成功・失敗事例を知ることは、私たちの視野を広げます。
そこで得た情報を、自らの取り組みと照らし合わせて再考することで、より適切な取り組みの選択ができるようになります。
おわりに:学びを実践に還すために
学術活動は、特別な人だけのものではなく、日常の実践をより良くするための道具です。
訪問看護・訪問リハビリを行う私たちが、問いを持ち続け、振り返る姿勢を持つことで、支援の質は着実に向上していきます。
これからも「学び続ける専門職」として、ご利用者・ご家族により安心・納得の支援を提供できるよう、一歩ずつ進んでいきたいと思います。
リニエ訪問看護ステーション港
作業療法士 本田