リニエ訪問看護ステーションキッズ西宮
看護師
【令和8年熊本地震】災害支援ナースとして被災地支援に参加しました
皆様こんにちは。リニエ訪問看護ステーションキッズ西宮、看護師の藤阪です。
この度、災害支援ナースとして被災地支援に参加しましたので、今回のブログで現地の様子や気づきについて共有させていただきます。
私が災害支援ナースになった理由
私が災害支援ナースの養成研修を受講したのは2010年のことでした。
翌2011年の東日本大震災ではJMATの一員として被災地へ赴き、看護師1年目から小児領域に携わってきたこともあり、「被災した子どもたちに何かできないか」という思いで活動しました。
それ以降も何度か派遣要請はあったもののタイミングが合わず、今回、被災地支援に入るのは実に15年ぶりのことでした。
前職では救急外来や救急病棟といった急性期領域でも経験を積んできました。
今回の派遣にあたっては、これまでの急性期でのスキルを活かしつつ、「過酷な避難所生活のなかで、子どもたちを含めた被災者全体にしっかりと目を向けた支援をしたい」という思いで参加を決めました。
今回の支援活動について

派遣期間: 令和8年8月下旬の3泊4日
活動時間: 8:00~20:00
活動場所: 熊本県内のA避難所
令和8年に発生した熊本地震に伴い、被災地での医療・看護支援および避難者の健康管理・生活環境整備を目的として実施された支援活動です。
本活動は、看護協会からの要請に基づき、「災害支援ナース」の一員として被災地へ派遣され、避難所等における被災者の二次被害防止(生活不活発病やエコノミークラス症候群、感染症の予防等)および多職種連携による包括的な支援を行う趣旨のもと実施されました。
支援活動の様子


8:00〜20:00の時間帯で支援活動に従事しました。
現場では、市の職員をはじめ、日本赤十字社、日本医師会災害医療チーム(以下、JMAT)、一般社団法人 日本災害リハビリテーション支援協会(以下、JRAT)、災害派遣福祉チーム(以下、DWAT)、災害時健康危機管理支援チーム(以下、DHEAT)などの各関係機関と密に連携を取りながら、多職種で包括的なケアの提供に努めました。
災害現場では、看護手技にとどまらず、多職種連携の要としての調整や、子どもたちへのアプローチなど、状況に応じた臨機応変なケアを展開する必要があります。
具体的な活動の様子は以下の通りです。
朝夕の定期巡回と感染対策の徹底
毎朝8時と夕方17時の1日2回、避難所内を巡回して健康観察を実施し、体調不良者の早期発見に努めました。
創傷処置や発熱対応を行うほか、アルコール消毒液の消費量をチェック・管理するなど、避難所全体の衛生・感染対策を徹底しました。
他チームと連携したDVT(深部静脈血栓症)の早期発見・受診調整
1日中ベッドで過ごしがちな(臥床傾向にある)避難者の方に対し、JMATやJRAT(リハビリチーム)と連携して積極的に声をかけ、観察を行いました。
その結果、エコノミークラス症候群(DVT)の兆候を早期に発見でき、速やかな病院受診へとつなげることができました。
子どもたちへの心理的支援(「遊びの時間」の設定)
大人の健康管理に意識が向きがちな災害現場において、子どもたちのストレス軽減や心理的ケアの不足に着目しました。
日本赤十字社の医療チームと協力して子どもが安心して過ごせる「遊びの時間」を企画・実施し、避難生活を送る子どもたちの心のケアを行いました。
この取り組みは後続の看護チームへへ申し送り、持続的なケア体制へとつなげました。
避難所管理者と支援チームをつなぐ円滑な「調整役」
現場の避難所管理者(市職員)と外部支援チームの間に入り、お互いがスムーズに動ける関係性や連絡体制を整備しました。
看護職の視点から現場の円滑なコミュニケーションを促すことで、支援全体の環境改善を図りました。
今回の活動で感じたこと
今回の3泊4日の派遣活動を通して、災害現場において何より重要なのは「目の前の状況を的確に把握する観察力」と「多職種とスムーズにつながる連携・調整力」であると痛感しました。
現場では看護技術だけでなく、市職員・日本赤十字社・JMAT・JRAT・DHEATなど、様々な立場・職種の方々と目標を共有し、チームとして動くリーダーシップやマネジメント力が求められました。
また、子どもたちのケアや避難者の方々の精神的なサポートなど、状況の変化に応じて臨機応変に介入することの大切さを学びました。
今回の活動で得た貴重な学びや気づきを今後の日々の訪問看護実践・地域活動にも活かすとともに、万が一の災害時に頼られる看護職であり続けられるよう、更なるスキルアップに努めていきたいと思います。
また、看護職だけでなく療法士の方も災害支援に関われるよう、社内全体で協力し合う体制を作っていきたいと考えます。
今後取り組むこと
今回の支援活動は、限られたリソースと緊張感の中で「看護の原点」をみつめ直す貴重な機会となりました。
この経験を一過性のものとせず、今後の活動や日々の実践に以下のように還元してまいります。
「違和感」を見逃さない観察力と多職種連携
避難所でのDVT(深部静脈血栓症)兆候の早期発見などの経験を活かし、日常の訪問看護でも小さな変化や潜在リスクを見逃さないアセスメントを徹底します。
また、多職種をつなぐハブとして連携を強化します。
事業所・地域における防災&受援体制の強化
現地で学んだ情報共有や外部支援チームの受け入れ(受援)ノウハウを事業所のマニュアルや訓練に反映します。また、平時から行政や地域機関との「顔の見える関係」づくりを進めます。
社内への還元と災害支援人材の育成
今回の学びを社内研修で共有し、看護職だけでなく療法士も含めた組織全体の防災意識向上と、災害支援に関われるスタッフの育成に取り組みます。
結びに
被災地という特殊な環境下で求められたのは、高度な医療技術だけでなく「被災された方の心と生活に寄り添う看護」と「周囲を円滑につなぐ調整力」でした。
被災された皆様が1日も早く落ち着いた生活を取り戻せるようお祈り申し上げるとともに、今回の学びを糧として、日々の臨床や地域医療、そして将来の災害支援において信頼される看護職であり続けられるよう精進してまいります。
最後に、今回の派遣にあたり温かいご支援とご協力をいただいた関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
リニエ訪問看護ステーションキッズ西宮
看護師 藤阪