目標の自己決定・達成に向けた作戦会議
作業療法士
目標の自己決定・達成に向けた作戦会議
皆さんこんにちは。
リニエプラッツ阿波座です。
今回は、個別療育に通っているお子さまとの個別療育プログラムの一例をご紹介します。
小学校高学年のころから通所を始めたI君。
地域中学校に入学したことから「部活で強くなるために筋力をつけたい」「学習の分からない部分を復習したい」など想いを話してくれるようになりました。
保護者様からは「宿題に取り掛かるのに時間がかかる」「就寝が遅く、生活リズムが整わない」「テストの点数が不安」といったご相談がありました。
そこで今年度から、子どもと作戦会議「CO-OPアプローチ」という方法での取り組みを始めました。
目標の自己決定
CO-OPアプローチの中に、「きみの目標はなに?」というシートでの書き込みがあります。
客観視することや見通しを持つこと、想像することが苦手な特性があるため、現状の生活を「年間スケジュール」「1日スケジュール」「場面ごとのイメージ(家、学校、部活、放課後等)」に分けて紙に書きながら、自分の目標のリストアップをしていきました。
やりたいリストが完成し、数ある中から「重要度」を数値化することで
- お母さんの手伝いをする
- 部活動の後輩と仲良くなる
- 早寝早起きができるようになる
に取り組んでいくことを決めることができました。
目標達成に向けた作戦会議
次に「CO-OPアプローチ」のシートに沿って、作戦会議を行っていきました。
※今回は運動を伴う目標ではなかったので、「人―活動―環境」の項目で、課題解決のための作戦内容としました。②③の作戦会議について紹介します。
- 一日スケジュールを確認して、「寝れない」理由を探す
なんで?観たいテレビがあり、リアルタイムで観たい。
→睡眠時間を決める。起きる時間を決める。逆算して就寝時間を決める。
→観れるテレビ、撮っておくテレビを決めてしまおう!!
→寝る前の歯磨きアラームを設定する。 - 現状の部活動内での交流を確認する。
なんで?→後輩とはあまり話さない。学年ごとで分かれている感じ。
作戦→後輩に挨拶する。始まりの挨拶→帰りの挨拶→練習終わりに声かけする
作戦内容が決まったので、毎利用ごとに各作戦を振り返り、チェックしていきました。
自己決定した目標の達成度振り返り
1学期間の取り組みで
- 寝る時間は一定になった。部活の試合で早起きするときには自分で「早く寝る時間」を決めることができた
- 後輩に練習中にも声をかけることができたり、練習ペアに申し込まれることが増えた。
といった変化がありました。
振り返りでは、「自分もやればできると分かった!!」と話してくれたI君。
ゴールに対しての遂行度、満足度もぐーんと上がりました。
2学期には新しく目標を掲げていて、やりたいリストがどんどん増えて進化しています。
- 「中間テストで数学は〇点以上取りたい」
- 「期末テストで英語は〇点以上取りたい」
- 「文化祭で〇〇〇をやりたい」
目標の自己決定・達成に向けた作戦会議 まとめ
I君は、自己発信が少なめだったり、イメージが持てずに物事を決められなかったりすることが多かったのですが、決まったことにはとても真面目に取り組めるお子さまでした。
今回の「目標の自己決定・達成に向けた作戦会議」は、I君のいいところにうまくフィットした内容だったと思います。
取り組みを通じて、I君が「自分で決めて、頑張る。結果、うまくいった」と実感でき、2学期の目標に繋げられたことがよかったです。
大人になると「自分で決める」「自分で考える」「自分で解決する」「わからない、悩んだ時は誰かに聞いてみる」など、生きていくための課題解決能力が今まで以上に重要になります。
リニエプラッツ阿波座での活動を通じて課題解決能力を身に付けてもらうことで、より自分らしい人生を送れるよう、今後もサポートできればと思います。