リニエ訪問看護ステーション四ツ橋
作業療法士
未来の作業療法士を育てる
リニエ訪問看護ステーション四ツ橋の作業療法士 松尾です。
普段はご自宅へ訪問して行うリハビリや保育所等訪問などを行っていますが、森ノ宮医療大学の総合リハビリテーション学部作業療法学科の特別講義を受け持ち、未来の作業療法士の育成にも関わらせていただいています。
私が担当するのは3年生で、90分2コマの授業を週3回、計6コマ、「脳性麻痺児の講義及び演習」というテーマで講義と実技演習を行っています。
作業療法学科の3年生は、長期の臨床実習を前にして学生気分から臨床家へ移行する時期でもあり、現場で働くことや社会人になることへの不安などが予測されます。
私も学生の頃、「本当に患者さんに役立つ仕事だろうか、自分もなれるだろうか」など様々不安だったことが思い出されます。
授業では、作業療法士が現場で本当に役に立つ仕事であることを伝えたいと思い、実際の在宅でのリハビリでお子さまが変化していく動画を視聴していただきました。
初めはザワザワとしていた教室も、動画を通し、お子さまがリハビリで変化するだけでなく、ご家族との関わりから、療法士はご利用者からも評価される存在であることにも気付き、学生たちの受講態度がピリッとしてきたように感じられました。
視聴後には、お子さまの反応に合わせて療法士も繊細に対応を変化させること、和やかな雰囲気の中で安心してやり取りしながらも許容範囲を超えないような刺激の調整や関わりが赤ちゃんや重度のお子さまとでも十分信頼関係を築けることなどをお話ししました。
実技演習では、ペアを組んで実践してもらい、学生たちがペアに対して姿勢を変える促しをしたときの相手の変化に敏感に対応する大切さに気づき、少しずつ自信つけていく様子に安心しました。
最後に、お子さまへの訪問で大切なことや気にかけてほしいことがあります。
お子さまに「また会いたい」と思ってもらえるような関わりを心がけてほしいのです。
そんな関係性が仕事のやりがいにもつながります。
私自身、在宅でのリハビリは初めてで、最初の頃は不安を感じていました。
単独で担当するまでに先輩療法士の同行を通して、お子さまの少しの変化に気づくこと、お子さまと関係を作ろうとしていること、本人のしんどい状況を感じること、そのお子さまの姿に合わせていこうとする姿勢を持つことでお子さまやご家族との信頼関係が築かれる様子を見て、その不安は徐々に解消していきました。
その後、単独での訪問を重ねていく中で、帰り際に「また来てね」というお子さまの笑顔に日々励まされています。
そして、担当するお子さまだけでなく、そのきょうだいも大事にしてほしいと思っています。
きょうだいたちが障がいのあるその子を大事にしている場面を多く見る一方、自分はいない方がいいんじゃないか、自分は大事にされていないんじゃないかと思ってしまう側面もあります。
保護者の方にも、私たちがきょうだいのお子さまにも関わる意味を伝えながら、きょうだいにも話しかけ、些細な日常会話から、その子にも関心があると伝えることも、同時に大切だと考えています。
訪問を始めた頃、赤ちゃんだった弟さんが小学校に入学され、合う頻度が減り、夏休みなど会える日を心待ちにされている等のエピソードもあります。
「また来てねー」ときょうだいにも見送っていただだけることはご家族の中でも大切な存在として安心して成長されていると思えて、ほっとします。
知識や技術だけでなく、これまで多くの先輩方に育てていただいた私自身の経験も自分だけのものにしてはいけないと思い、これからのご家族が安心して子育て出来るような未来を学生たちに託す思いです。
リニエ訪問看護ステーション四ツ橋 作業療法士 松尾