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リニエ訪問看護ステーション鶴見

理学療法士

理学療法士がみる!靴の選び方

皆さんこんにちは。リニエ訪問看護ステーション鶴見、理学療法士の金子です。

今回は靴の選び方についてお話したいと思います。

『靴』と『下肢装具』

下肢装具は、下肢(股関節から足先まで)の各部位に装着するもので、機能を助けたり変形を予防・矯正することを目的に使われます。

人それぞれの状態に合った下肢装具の検討は、理学療法士にとって大事な業務のひとつです。

病院在籍時代は様々な物を医師・看護師・その他職種の方々と連携して作り、入院中に使用してもらっておりました。

ただ、在宅となると“継続”して使うという点において難しい方がいらっしゃることが散見されます。
理由については様々なので今回は割愛いたします。

そこで私が次に考えるのは靴です。
特に足首の”固定性”を担保できて”安価”である物を探しておススメすることが多いです。

靴のタイプ別に特徴をご紹介します。

  • ミドルカットシューズ
    足部に対しての固定性を保障しやすい。
  • ローカットシューズ
    固定性が無い代わりに、足部の自由度が上がるため路面に対しての対応がしやすい。

あくまで傾向ですので、靴それぞれの作りや素材によって異なってくる部分もあるかと思います。

私は固定性を担保するために、ミドルカット・ハイカットシューズをおすすめしています。

ここで、以前担当していた方を一人例に挙げたいと思います。

靴を短下肢装具の代わりに活用した例

以前担当していた方(以下A様と呼称します)は、麻痺のある側の下肢をご自身の意思で動かすことがある程度可能でしたが、動きを補助するための短下肢装具をお持ちでした。

足首の不安定性から、装具を使わず歩いた場合に捻挫を繰り返されていましたが、『装具を使用するのが面倒』だと使わないことが多くありました。

そこで私は、装具よりも導入ハードルが低いのではと考え、ある程度固定性があり捻挫を防止できそうな市販のミドルカットシューズを提案しました。

使いはじめた当初は「足首が程よく守られているという感触がありとても良い」と仰っていたので、皆で喜んでいました。
ところが、しばらくしてから歩く度に足首に痛みを訴えられるようになりました。
様子を見ていく中で、屋外移動と屋内移動で疼痛の有無が変わることに気づき、靴の有無が関係しているのではと考えました。
そこで色々と試したところ、ローカットシューズに変えると痛みが無くなるのがわかりました。

靴の形状の違いが足部に及ぼす影響について調べてみたのですが、調べ方が悪かったのか「これだ!」というエビデンスには辿り着けませんでした。
「みつけたよ!」って方がいらっしゃれば是非ご連絡ください。

靴についてのエビデンス

今回のケースについて調べる中で、興味深い報告がありましたので紹介したいと思います。

Annette(2016)は、足部背側部分を適切に固定した履物を使用した場合、それ以外の履物を使用した物と比較して足部クリアランスが改善すると報告しています。
つまり、つまずきやすさが改善するということです。

また、アウトソールの高さの違いが足部筋活動、及び関節運動に変化を及ぼしソール高が低い方がより自然な歩容を呈するという報告もありました。
つまり、より自然な歩き方ができるということです。

A様のケースでは、ミドルカットシューズという着眼点は良かったかもしれないのですが、その形状(ソール高や固定の仕方等)によりフィッティングが上手に行えていなかったのが、痛みの原因だったかもしれません。
今更ながらに反省しております。

最後になりますが、最近はオシャレで脱ぎ履きしやすい靴が色々と出てきていますので、選定が必要な際は探してみられるとお好みに合うものに出会えるのではと思います。

読んでくださった方も、今一度ご自分の靴を見直してみてはいかがでしょうか?
ちなみにですが、私は『足を鍛える』という目的のためベアフットシューズを日常履きしています!

「ベアフットシューズってなに?」と思われる方や、靴の選び方について興味のある方、足の痛みについてお悩みのある方は、ぜひリニエ訪問看護ステーション鶴見までご連絡ください。

リニエ訪問看護ステーション鶴見
理学療法士 金子

参考文献:

1)Annette M Davis:Effect of footwear on minimum foot clearance, heel slippage and spatiotemporal measures of gait in older women,2016

2)橋本 雅至・他:足部からみた身体運動の制御,理学療法学 2001

3)Dan Med J:Contributions to the understanding of gait control,2014