リニエプラッツ二子玉川
共同広報推進室作業療法士
学童保育での場面緘黙支援「話させない」関わりで自然な発語が増えた理由
学童保育で「話さない子」にどう関わるか
学童保育の現場で「この子、まったく話さないんです」と相談を受けたことはないでしょうか。
今回は、場面緘黙のある小学校1年生の女児が、学童保育での関わりを見直すことで
自然な発声が増え、子ども同士の関係が広がり、会話が成立するようになったという事例をご紹介します。
ポイントは意外なものでした。
それは「話させない」関わりです。
場面緘黙(ばめんちんもく)とは
場面緘黙(ばめんちんもく)とは、
話す能力はあるのに、特定の場面で声が出なくなる状態を指します。
例えば
・家庭では普通に話せる
・学校や学童では声が出ない
といった様子が見られます。
これは「話さない」のではなく、不安によって話せなくなる状態。
そのため、
・「言ってごらん」
・「ちゃんと話して」
といった関わりは、かえって不安を高めてしまうことがあります。
学童保育で見られていた課題
今回の事例は、特別支援学級に在籍する小学校1年生の女児
学童では
・ほとんど発語が見られない
・指導員や子どもとの会話が成立しない
という状況でした。
配慮として、世話好きでおとなしい6年生の女児と一緒に過ごす。
安心できる環境ではありましたが、この関わりが発語や対人関係の広がりにつながっているのか」という疑問が生まれました。
観察から見えてきたこと
日常の様子を観察すると、興味深い違いが見えてきました。
室内遊び
・静かな環境
・視線が集まりやすい
→ ほとんど発声なし
外遊び
・走る
・追いかける
・身体を動かす
→ 思わず声が出る場面がある
発声を引き出していたもの
ここから見えてきたのは、
情動(感情)の動き
この児童は、
・静かな場面
・会話を期待される場面
では不安が高まり声が出にくくなる一方、
・身体を動かす遊び
・感情が高まる場面
では、自然に声が出やすい特徴がありました。
つまり
「話そう」とする前に
感情が動くことで発声が起きるタイプ
だったのです。
支援方針の転換
そこで支援方針を見直しました。
発語を求めるのではなく、
・楽しい
・夢中になる
・感情が動く
体験を増やすことにしました。
目指したのは
情動 → 発声 → 発語
という流れです。
あえて「元気な集団」に入る
これまでの「おとなしい上級生と一緒に過ごす」関わりは安心できる一方で、情動が動きにくい環境。
そこで、
・元気な子どもたちとの遊び
・身体を使う集団遊び
を意図的に増やしました。
例
・鬼ごっこ
・おしくらまんじゅう
・身体接触のある遊び
指導員も遊びに入り、「話させる」ではなく「一緒に楽しむ」ことを大切にしました。
見られた変化
すると、
・「わー!」
・「まって!」
・「いや!」
といった自然な発声が増えていきました。
さらに、子ども同士のやりとりが生まれ、会話が成立する場面も増えていきました。
現在では、特別支援学級から通常学級へ転学しています。
場面緘黙支援で大切なこと
この事例から見えてきたポイントは次の通りです。
・場面緘黙は「話さない子」ではなく「不安で話せない状態」
・無理に話させる支援は逆効果になることがある
・安心に加えて「情動が動く体験」が重要
・遊びや身体活動は言葉への入り口になる
まとめ
場面緘黙の支援は、言葉から始める必要はありません。
むしろ
・遊び
・身体
・感情
といった体験の中から、
言葉が自然に生まれることがあります。
学童保育だからこそできる支援も、きっとあるはずです。
作業療法士 八重樫 貴之
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