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リニエ訪問看護ステーション四ツ橋

作業療法士

第44回 近畿作業療法学会

第44回 近畿作業療法学会で研究を発表

この4月より「リニエ訪問看護ステーション四ツ橋」で勤務しています、作業療法士の横井と申します。

2024年6月29日〜30日、大阪国際会議場で「Well-beingに寄与する作業療法」をテーマに『第44回 近畿作業療法学会』が開催されました。
今回、はじめて作業療法士として学会での演題発表(ポスタ―)を行いました。

発表した演題は、私が大学4年生のときに卒業研究として発表した「児童が片付けを行う際の支援」です。

まず、なぜこの研究を行ったのかをお話しします。

私は学生の頃、「いきいき放課後事業所」でアルバイトをしていました。

「いきいき放課後事業所」
大阪市内の全ての市立小学校において、平日の放課後・土曜日・長期休業日などに、放課後の活動場所を提供する事業。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000002464.html


働く中で、片付けをしていない児童が先生から支援や指導を受けている場面に度々遭遇しました。
そこで、「どうしたら児童が自発的に片付けを行うことができるのか」ということに疑問を持ち、支援の方法について研究することにしました。

大学生に「なぜ片付けができないのか」「どのような支援をすれば片付けられるか」という内容のアンケートを実施、質的・記述的に分析しました。
卒業研究として発表した演題「児童が片付けを行う際の支援」は当時、皆様に評価いただけましたので、この度の近畿作業療法学会でも発表させていただくことにしました。

第44回 近畿作業療法学会の発表で伝えたいこと

今回の第44回 近畿作業療法学会で伝えたかったことは、片付けができない理由の背景には『認知処理能力が影響している』ということ。そして、『そこに対する支援方法が少ない』ということです。

大学の中間発表では、片付けができない理由は、「めんどくさいからじゃないのか?」と言われていました。
ですが、実際にアンケートを取り分析すると、「片付けを忘れてしまう」など、認知処理能力の問題で片付けができていないのではないかということが見えてきました。

認知処理とは、情報を取り入れ、記憶し、整理・理解・思考して、表現するという脳の活動のことです。

認知処理には以下の二つの方法があります。

「継次処理」 情報をひとつずつ順序立てて理解する方法(聴覚、言語優位)
「同時処理」 
情報の全体を捉えてから、部分同士を関連付けて理解する方法(視覚優位) 

KABC-Ⅱ(知能検査ツール)には、これらの認知処理能力の支援方法が具体的に示されていたため、支援方法を考察しました。

「継次処理」が得意な人には、複数の段階に分けてから口頭で説明する。
「同時処理」が得意な人には、全体の流れを伝え、片付け方の見本を見せる。

などの、支援方法を考えました。

「片付ける気になるまで待つ」などの気持ち面を考慮することや、「一緒にやろう」などの声掛けで片付けをするきっかけを作ることも大切です。
それに合わせて、お子さまの認知的な能力に基づいた支援を行えば、片付けをスムーズに行うことができるお子さまが増えるのではないでしょうか。

第44回 近畿作業療法学会の発表を終えて

学会当日は、予想以上に多くの方々が話を聞いてくださり、発表時は緊張で紙を持つ手が震えていました。

質疑応答の際、「両親の片付けの苦手さが、子供に影響していますか?」という質問をいただきましたが、「今回は児童を対象としていたため、両親については研究できていません」とお答えしました。
遺伝要素も関係しているのか気になったため、今後の研究の参考にさせていただこうと思いました。

発表が終わってから、実際に小児分野で働いている方に、「実際に働いている施設でも片付けができない子が多くいるので、参考にさせていただきます。」と感想をいただいたり、じっくりとポスターを見ていただいたりしました。

私は現在、作業療法士としてリニエプラッツ阿波座で『放課後等デイサービス』にも携わっています。
今後は、研究内容をリニエプラッツ阿波座に通ってくれている子どもさんにも活用していけたらいいなと思っています。

作業療法士として1年目。
これから現場を経験することで、今回の研究内容もアップデートしていくつもりです。

最後となりましたが、今回研究に協力いただいた方々に感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

著者情報

リニエ訪問看護ステーション四ツ橋
作業療法士 横井

2024年3月 森ノ宮医療大学保険医療学部作業療法学科 卒業
      作業療法士免許 取得
同年4月  株式会社リニエL 入社
     リニエ訪問看護ステーション四ツ橋 配属

作業療法士として、訪問リハビリと放課後等デイサービスでのサービス業務を行う。
明るい笑顔で、事業所の人気者。